時々読み返す本。
荒木陽子の「愛情生活」。
荒木陽子と聞いてピンと来なくても
アラーキーこと写真家荒木経惟の奥さんといえば
わかるのではないでしょうか。
「女が男を想う、その想い方にも色々あるだろうが、
私の場合は、火や水を欲するが如く、ごく単純に
彼を求めているようだ。それは絶対に無くなってもらっては
困る物なのである。…」
夫がカメラマン、しかも新婚旅行を丸ごと写真集にしてしまうような
写真家であるため、夫婦生活もかなり個性的。
でもお互いがお互いを必要とし、毎日を楽しんでいる様子が
本の中から伝わってきます。
本当に、幸せだったんだろうな。
でも彼女はわずか43歳でこの世を去ってしまいます。
その陽子さんの最後のエッセイに、荒木氏の写真を加えて
没後出版されたのが「東京日和」という本。
同じタイトルで映画化もされています。
本の中には荒木氏手書きの日記も入っています。
「ヨーコを想いながら歩く」
「遺影のヨーコとふたりっきりで食事」
「送り火しない、帰さない」…
言葉のすき間から、悲しみがこぼれ落ちてくるような
荒木氏の日記。読んでると切なくなってきます。
それを読んでから改めて陽子さんのエッセイを読むと、
幸せいっぱいの文章がまた切なくって。
共に生きる、ということについて考えさせられる2冊です。